ペンネームが決まらない

こんばんは。黒輪太陽(クロワッサン)です。

 「

世の中には2種類の人間がいる。
それは人のハンドルネームの由来を聞きたいタイプと、興味がないタイプで、私は、後者のタイプに属している方だ。
ハンドルネームやペンネームとは、本人が自分につけた名前だ。たまたま手元にあったものが由来のこともあれば、三日三晩悩んだ末に自意識のにこごりのようなクリーチャーを生んでしまう者もいる。
ほどよい適当さとこだわりが意外なマリアージュを生み、その人の性格ばかりか、秘密の質問採用率100%(当者妄想)の「好きな食べ物」までも知りうるのだ。

個人的には、センスのいい作品を書く人は大体ペンネームのセンスもよい、という印象がある。ひらがな3文字とか4文字の独創的な名前とか、下ネタに振り切った人とか(イベントで名乗る時どうすんだろうね)、漢字とカナを合わせてお洒落なアーティストっぽくしている人とか。
そういう人は結構、インターネットデビューした中学生の時に作った名前をずっと使っていたりなんかして、私はそれに非常に憧れる。

なぜなら、私のペンネームは常に迷走してきたからだ。(ここからプロジェクトＸのテーマ曲を流してください)
中学生の時、立派な厨二病だった私は、漢字2文字のハンドルネームが最高だと信じていた。まだBLにも創作にもハマっていなかったから、デュラララ!!の掲示板で名乗る時のために、せっせこ考えていた。ああ、デュラララ!!好きの女子中学生の考えることなんて手に取るように分かる。
臨也や杏里のように「ヤバい」人間と思われることに憧れたのだ。もうそうなると厨二病も手をつけられない。
最終的に行き着いたのは、狂うに花、と書いて

「狂花」。
久しぶりに思い出すと衝撃だ。まるでお手本のような中2女子ではないか？ いつかトーハク(東京国立博物館)に「平成時代の人間」というブースが出来たらその中の厨二病のコーナーに飾ってもらえそうな気さえしてくる。

高校に入り、部活で書く小説のためのペンネームが必要になった。段々「狂花」がヤバいということにも気づき始めていた私は、ほかの名前を考え始めた。そうして行き着いたのが「愚行」。
程度としてはほとんど変わっていないのだが、私はなんとこれを三年間使い続けた。自分の馬鹿さにはなまるぴっぴを贈るしかない。

「愚行」で分かるように、高校辺りから私はペンネームを自虐的につけるゾーンに入った。その時につけたpixivでのペンネームがこちら。
「空疎月」だ。
2文字から3文字に変わりはすれど、本質的には変わっていない。自虐と中2丸出し。私はどこまで中2を引きずるのか。
本のタイトルとかにはまだいいかもしれないが、名前にするには無理がある。
自虐を名前に取り入れるやつはどこかしらおかしい。初対面から自虐を聞かされる相手の身にもなれ、という話だ。

この改名から数年経って、また改名した。

それが「空月 愚」。

エッセンスがごたまぜである。自虐と詩情を取り入れようと思ったのか、空疎月が分離した形になっている。思い思いの方向に枝を伸ばしていいのは樹木だけだ。名前ぐらいはもっと無難にまとめろ。この時の私にそう言ってやりたい。
これをドヤ顔で言っていたことを思い出すと辛いし、もういっそ殺してくれ。
この時同人イベントに行ってなくて本当に良かった、と思う。

それから数年後、某推理小説の二次創作にハマり、なんやかんやで改心した結果「三橋明」という名前になった。どうだ、これは同人イベントで名乗れる。みつはしあきら。どこにも自虐は含まれてないし、変に凝ってもいない。常用漢字だし。なんなら市役所に娘の名前として提出しても怒られない。

「これで流浪のペンネーム旅からは解放じゃい！」
そう思った矢先、またもや、新たなペンネームを考える必要が発生した。
ブログでのペンネームだ。
ブログで小説を書く気はないし二次創作の方と気分を変えてたかったから、三橋明は使えない。
迷走するサラバンドへの再びの転身。
砂漠を彷徨うラクダ。ラクダの胸にはパソコンでしか打てない謎の十字架。
迷いまくった末に、もういっそシンプルに食べ物の名前をつけよう、という境地に達した。お洒落な名前は私には無理だ。シンプルイズベスト。
ニンテンドードッグで、茶毛の犬に「チョコ」とつけた単純さで。白いぬいぐるみを「しろ」と名付けた無垢さで。
私は自分を「クロワッサン」と呼んだ。

クロワッサン、おいしいよね。

これで一見落着、と思ったのもつかの間。
次第に、この名前をいじりたいという気持ちがムクムクと湧いてきた。
もっとパンチのある名前にしたい。エゴサーチのしやすい名前にしたい。難しい漢字を入れたい！！！
そういう気持ちを抑えつけながらクロワッサンと名乗っている。もうこれはサガというしかない。

ああ、ダメだ、どんどん改名したくなってくる。

名前を魔改造したいという気持ちが治らない。 当て字をしようか、あるいは非常用漢字を使うか、あるいは……………！

いやダメだ！もうこれ以上恥を増やすわけにはいかない。ただでさえ恥が多いのだ、これ以上増えたら未来には憤死しか待ち構えていない！どうして脳ってやつは嫌な記憶ばっかり覚えてるんだろうね？！

くそッ、もうダメだ！
私の中の厨二病が暴走する前に…………クロワッサンが「✳︎狂った三日月の焼死体✳︎」になる前に………はやく……殺して……

……それか……お洒落なペンネームを……ください……………」

以上です。厨二病サイコー。